信じるも、信じないもアナタ次第…。まずそう言っておきたい。逃げを打つようで恐縮だが、それほど中身は刺激的で、既成概念とはまるで違うことが書かれている。何しろ、元気で長生きをし、穏やかに老衰で死にたければ、できるだけ医者にかからず、薬も飲むなというのだから。
がん治療のリスクを指摘したベストセラーで脚光を浴びた著者が今回は「薬」を俎上(そじょう)にのせた。やり玉に挙げられた医・薬の業界にとっては、まさに怖い劇薬であろう。
かぜ薬、胃腸薬、頭痛薬-。テレビからひっきりなしに流れるCM。本書によると、薬局の数はコンビニ(4万店以上)より多い約5万4千店(平成23年)。65歳以上が1年間に使う薬代は、医者の処方箋によって出される薬局調剤医療費だけで約12万円(同)。日本人ほど薬が好きな民族はいないらしい。
それだけではない。健康診断を受けたら、「高血圧」や「高血糖」の基準を超えている、と指摘され、たちまち薬の服用を勧められる。いったん飲み始めると、多くは死ぬまで止められない。人間ドックで「がん」が見つかると、「手術や抗がん剤治療」が一般的だ。抗がん剤治療には嘔吐(おうと)や脱毛など苦しい副作用を伴う場合が少なくない。
著者が主張する趣旨はこうだ。根拠の乏しい(高血圧などの)「基準」によって、勝手に「病気」にされ、「薬」を服用するハメになってしまう。そもそも、自覚症状もないのに薬を飲んだり、医者にかかったり、健康診断を受ける必要はないのだ(よけいなカネがかさむし、心だって不安になる)。
大体そんなに“薬漬け”になったら、逆に人間本来の自然治癒力が衰えてしまう。しかも、薬の怖い副作用について患者に十分な説明がされているとは思えない。いやいや、そもそも「薬の効能」なんてどれほどあるのか?
とにかく、バッサ、バッサと斬りまくる。「ホントか?」と首をかしげる向きにも、手術や投薬の結果を詳細に追ったデータが科学的に証明しているのだ、と、一歩も引かない。さぁどうする?(アスコム・1100円+税)
評・喜多由浩(文化部編集委員)