タカタ製エアバッグのリコール(回収・無償修理)が世界各地に広がり、自動車業界では交換部品の調達・確保が深刻な課題となっている。タカタは部品の緊急増産を始めたほか、他の部品メーカーも増産に乗り出し需要に応じる構えだ。ただ、リコール台数の急速な拡大に増産が追いついておらず、ホンダは国内の調査リコールを、事故の危険性が高いとされる高温多湿な地域から順に進めるなど対応に苦慮している。(田辺裕晶)
「協力したい気持ちはある。だが、現実問題としては手を出せない」
日本自動車部品工業会の玉村和己会長(日本発条社長)は12日の記者会見で、タカタ問題への対応の難しさをこう強調した。
今回のリコールでは、エアバッグをガスで膨らませる装置「インフレーター」の不具合が問題になった。この部品は火薬を使うため通常の部品メーカーでは扱えず、「素人がしゃしゃり出ても逆に混乱させる」(同工業会幹部)という。
タカタは自社で交換部品を増産するほか、製造経験がある一部の同業他社に生産を委託せざるを得ない。
タカタは来年1月までに、メキシコの工場で交換部品の生産ラインを増設し、現在月産35万個の生産能力を45万個に増やす計画だ。また、中国やドイツの工場でも増産態勢に入ったという。