ゲーム機の進化に伴ってグラフィックスやサウンドも高品質化し、ゲーム中に使われる音楽はいまやハリウッドの映画音楽と比べても同等、それ以上のでき映えを誇るものも多い。ゲームソフト大手のカプコンでコンポーザー(作曲家)を務める鈴木幸太さん(36)は、目だけではなく、耳でもゲームの世界観を体感してもらおうと日々、曲作りに励む。技術やセンスを磨くのはもちろん、さまざまな音楽や映像に触れるなど、日々の研鑽(けんさん)を欠かさない。(橋本亮)
演出の重責担う
音大で声楽を学んでいた鈴木さんがカプコンに入社したのは平成15年。「ゲームが好きだったのと、何か音楽に関わる仕事がしたいと考えてた」というのが、コンポーザーの職を選んだ理由だった。以来、ゲーム音楽の作曲一筋で、これまでに千曲以上を手がけた。
シナリオを読んだり、デザインを見て、キャラクターや使われるシーンのイメージをふくらませ、曲として具現化する。鈴木さんは「キャラやシーンにぴったりとはまる曲ができなければ、ゲームの演出、評価に影響してしまう」と言う。ゲームの「演出家」としての役割も担っているのだ。