志賀は震災の発生直後から、トヨタ自動車社長の豊田章男やホンダ社長の伊東孝紳らライバル企業のトップと、携帯電話で連絡を取りあった。被害状況や今後の対応などの情報を共有し、未曾有の大災害に「オールジャパン」で取り組む姿勢を打ち出すためだ。
普段はライバルでも、有事には一枚岩となる。自動車産業の結束力を内外に示した志賀の対応は、多方面から評価された。危機対応で信頼感を高めるその姿に、関係者は「ゴーンに通じるしたたかさを感じた」という。
同時に志賀は、日産社内でも従業員の安全を最優先に、生産の継続に向けた指示を飛ばした。横浜市内の日産本社では震災発生からわずか30分で、緊急時の機材や専用電話などを備えた災害対策部署が整えられたという。志賀は「ゴーンの考え方が頭の中でいわれなくても分かった」と打ち明けた。