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あの8月6日の朝を迎える前に 井伏鱒二の問題作『黒い雨』をめぐって 松岡正剛 (3/5ページ)

2014.8.5 17:55

【BOOKWARE】編集工学研究所所長、イシス編集学校校長の松岡正剛さん=9月14日、東京都千代田区の「丸善丸の内店内の松丸本舗」(大山実撮影)

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 井伏が落ちた理由はいまだに詳(つまび)らかになっていない。原爆文学とはいえ、1982年の時点の話なのだが、前途多難だったのだ。いまでも中沢啓治の『はだしのゲン』の蔵書や展覧が図書館の問題になっている。

 先日、ぼくは広島出身の為末大君らとともに、三菱商事・リクルートなどのビジネスマン30人を連れて原爆記念館を訪れた。みんな押し黙っていたが、誰も『黒い雨』を読んでいなかった。まだ戦後は終わっていないようだ。

 【KEY BOOK】「黒い雨」(井伏鱒二著/新潮文庫、680円)

 連載当時は『姪の結婚』だったが、途中から『黒い雨』に変更された。めずらしいケースだ。重松静馬の『重松日記』と被爆軍医だった岩竹博の『岩竹手記』がもとになっている。ストーリーは上にかいつまんだようになっているが、のちに猪瀬直樹は「井伏は重松日記を引き写したにすぎない」と批判した。こうした点が議論になって、全16巻予定の「日本の原爆文学」が15巻になったのだった。しかし、ぼくは『黒い雨』を誰もが読むべきだと思っている。

朝鮮戦争に嗚咽して「家なき子のクリスマス」を執筆

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