【KEY BOOK】「屍の街・半人間」(大田洋子著/講談社文芸文庫、1050円、在庫なし)
大田洋子は尾道や広島で女給をしながら小説を書いていた。長谷川時雨に認められて「女人芸術」に作品を発表してその才覚が開花したのだが、疎開中の広島で被爆したのちは『屍の街』『人間襤褸』で原爆作家と呼ばれた。大田の描写力は爆心を描くのではなく、爆風の及ぶところを綴った。広島の基町の文学碑には「少女たちは/天に焼かれる/天に焼かれる/と歌のように叫びながら/歩いていった」と刻まれた。(編集工学研究所所長・イシス編集学校校長 松岡正剛/SANKEI EXPRESS)
■まつおか・せいごう 編集工学研究所所長・イシス編集学校校長。80年代、編集工学を提唱。以降、情報文化と情報技術をつなぐ研究開発プロジェクトをリードする一方、日本文化研究の第一人者として私塾を多数開催。おもな著書に『松岡正剛千夜千冊(全7巻)』ほか多数。「松岡正剛千夜千冊」(http://1000ya.isis.ne.jp/)