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折口信夫を読まない日本人はモグリだ 「妣(はは)なる国」を綴り続けた近代的古代人 松岡正剛 (4/5ページ)

2014.9.2 16:25

【BOOKWARE】編集工学研究所所長、イシス編集学校校長の松岡正剛さん=9月14日、東京都千代田区の「丸善丸の内店内の松丸本舗」(大山実撮影)

【BOOKWARE】編集工学研究所所長、イシス編集学校校長の松岡正剛さん=9月14日、東京都千代田区の「丸善丸の内店内の松丸本舗」(大山実撮影)【拡大】

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 【KEY BOOK】「釈迢空歌集」(折口信夫作・富岡多恵子編/岩波文庫、821円)

 釈迢空の歌が中学期から追って収録されている。なんとも滲みいる歌ばかり、なんともヴァルネラブルな歌ばかりだ。ぼくはいつもこれらによって、自分の魂がどこかに連れ去られていくような感触をもってきた。この「どこか」とはおそらく「妣なる国」だ。ぼくを攫(さら)ったのは日本の客神たるマレビトたちだ。「おもむろに 吹きて立ちたる笛の座に残しし 笛を思ひ居たりき」「憎みがたき心はさびし。島山の緑かげろふ時を経につつ」

 【KEY BOOK】「折口信夫の記」(岡野弘彦著/中央公論社、2200円)

 『折口信夫の晩年』『折口信夫の記』『折口信夫伝』ともに、とてもありがたい本だ。岡野さんは折口の晩年を伴走した最後の青年だった。すでに少年愛を求めるところの少ない時期であったらしいけれど、岡野さんには万感こもる折口体験だったはずである。その岡野さんの歌には、何重にも釈迢空が投影されている。それは、いわば「いやはてに、鬼は たけびぬ。かくこそ、いにしへびとは ありけれ」という師の歌の魂を、生涯の齢をかけて継ぐものだった。

ホカイビト論、ミコトモチ論

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