同社を代表する日本酒のブランド「松竹梅白壁蔵」シリーズをはじめ、純米大吟醸酒、大吟醸酒などを製造。杜氏(とうじ)や蔵人が長年培ってきた手造りの技を生かしながら、そこに最新の機械や技術を組み合わせた酒造りをしている点が大きな特徴で、ヒット商品となった澪もここから生まれた。開発には実に6年の歳月がかかったという。
「一般的な日本酒のアルコール度数は15%ですが、澪は5%。アルコール度数が低いと、どうしても味が薄い感じになってしまうので、その点をどうするかが一番難しい点でした。炭酸ガス、甘みをバランスよく配分しつつ、しっかりと米の旨みを引き出せたところが、市場で評価された一つの理由ではないでしょうか」と白壁蔵の碓井規佳(うすい・のりよし)工場長(53)は話す。
スパークリング日本酒は現在、約100銘柄が販売されている。しかし、日本酒市場に占める割合は1%程度と、まだまだ低い。こうしたなか、澪は昨年度、前年比4倍の60万ケース(1ケースは300ミリリットル12本入り)を記録。今年も、「好調な伸びを示している」(同社)といい、その動向が業界でも注目されている。こうした需要の増加に対応するため、同社では、白壁蔵の原酒製造設備と、伏見工場(京都市伏見区)の瓶詰設備の増強に約25億円を投じた。今年秋から冬には年間200万ケースの供給が可能になるという。