【KEY BOOK】「ドリトル先生と緑のカナリア」(ヒュー・ロフティング著、井伏鱒二訳/岩波少年文庫、821円)
第11作目。先生はかつてサーカス団を結成していたころ、公演の目玉に困っていたことがあった。ある日、お店で美しい歌声を披露しているカナリアに出会う。その名をピピネラという。メスなのに鳴く。不思議に思って生い立ちを聞くと、これが波瀾万丈だった(この話が興味深い)。先生は感銘して、サーカスで「カナリア・オペラ」を上演した。そこに貧しい窓拭き青年の話が絡んで、ほろりとさせたり、魂を洗われたりする。
■まつおか・せいごう 編集工学研究所所長・イシス編集学校校長。80年代、編集工学を提唱。以降、情報文化と情報技術をつなぐ研究開発プロジェクトをリードする一方、日本文化研究の第一人者として私塾を多数開催。おもな著書に『松岡正剛千夜千冊(全7巻)』ほか多数。「松岡正剛千夜千冊」(http://1000ya.isis.ne.jp/)