鍵を握るのはニューヨーク・ウォール街である。ウォール街の金融機関や投資ファンドは、世界の余剰資金を集め、米国市場を初めとするグローバルな市場に配分する。運用金融資産はすべてドル建てだ。ドル高になれば、米国以外の株価のドル建て価格が下がる。ウォール街の投資ファンドは配分比率を維持するために自動売買プログラムが作動して、ドルに対して通貨が下がった国の株を買い増す。この結果、日本株の場合、円安で上昇する。逆に円高になれば、日本株の相場は下落する。
14年の夏からは円安になっても、円安の幅ほど日本株価は上昇していない。ウォール街の投資ファンドが米国株の保有比率を引き上げて、日本を含む海外株の保有比率を引き下げた影響による。米国景気回復、さらに米連邦準備制度理事会(FRB)による量的緩和政策(QE)終了もウォール街の判断に影響している。
FRBは14年10月にはQEを打ち止めたが、その前の9月からドル資金の回収を始めていた。FRBの政策変更を事前に察知した米投資ファンドは早々と海外市場への投資額を抑えるか、または不振が続く一部海外市場から投資を回収する動きに出たので、7、8月以降の米国以外の株価の下落につながった。