【本の話をしよう】
≪本は記憶のスイッチを入れる≫
同世代で、同郷で、名前も同じ「洋子さん」。いくつもの共通項を持つ作家・小川洋子さんと平松洋子さんが、自らを育んだ30冊と1本についてとことん語り合った対談集『洋子さんの本棚』を刊行した。本を語ることは人生を語ること-。単なる書評にとどまらない、滋味あふれる一冊となった。
話が弾む古典的役割
――ゆっくりと話すのは本書が初めてだったというお二人ですが、互いにどんな印象をお持ちでしたか
平松洋子さん(以下平松) 小川さんの作品を拝読していて、何か通じるものを感じていました。物語という手立てを通じて、小さな存在から世界の深部を見つめていらっしゃるような…。尊敬とともに親近感がありました。
小川洋子さん(以下小川) 私は平松さんの書評が大好きなんです。自分の作品には毎回満足していないのですが、平松さんに書評していただけた時には、書いたかいがあったと思うくらいです(笑)。読んでつまらなかった本でも、平松さんの書評は抜群に面白い、という経験もしばしばです。