【KEY BOOK】「東京プリズン」(赤坂真理著/河出書房新社、1944円)
こういうふうに、東京裁判と日本国憲法と日米関係の裏腹な構築感覚を、「天皇の戦争責任」を通して描いた小説はなかった。アメリカの高校でディベートをさせられているというカウンターフィルターが効いている。われわれは、英語的な天皇像や翻訳倒語的な日本国憲法というものを、ちゃんと見てこなかったのかもしれない。赤坂真理はその「虚」を周到に突いたのだが、案外それこそが「実」だったのだ。『愛と暴力の戦後とその後』も読みごたえがある。(編集工学研究所所長・イシス編集学校校長 松岡正剛/SANKEI EXPRESS)