サイトマップ RSS

男と男の一騎打ち まるで西部劇 「川崎のぼる~汗と涙と笑いと~展」 椹木野衣 (4/5ページ)

2015.8.31 13:00

花形満「巨人の星」(原作:梶原一騎)。カラー:講談社『週刊少年マガジン』(掲載年不明)。(C)梶原一騎・川崎のぼる/講談社

花形満「巨人の星」(原作:梶原一騎)。カラー:講談社『週刊少年マガジン』(掲載年不明)。(C)梶原一騎・川崎のぼる/講談社【拡大】

  • 星飛雄馬「巨人の星」(原作:梶原一騎)。カラー扉:講談社『週刊少年マガジン』1968(昭和43)年43号。(C)梶原一騎・川崎のぼる/講談社
  • 「いなかっぺ大将」。2色カラー扉:小学館『小学三年生』1970(昭和45)年2月号(提供写真)
  • 「荒野の少年イサム」(原作:山川惣治)。モノクロ見開き内容:集英社『週刊少年ジャンプ』1972(昭和47)年18号(提供写真)
  • 「枯野の鬼」。モノクロ扉:集英社『別冊マーガレット』1966(昭和41)年3月号読切(提供写真)

 これらダイナミックに変遷する仕事を、展覧会場を回遊するように眺めているうち、ふと気付くことがある。

 それは、手掛けたジャンルや掲載された媒体の違いにかかわらず、川崎が一貫して「躍動」を追い求めてきた描き手だということだ。

 それは、初期に手掛けた得意なジャンルが、忍者ものと西部劇だったことに象徴されている。いずれも神出鬼没の登場人物を、平面のコマ割りのうえで、いかに迫真的に描くかに、作品の魅力が懸かっている。そして、いずれの分野も1対1の勝負の場面にクライマックスがあり、そこでは、目にも留まらぬ一瞬の攻防が生死を分ける。作画家にとっては、腕の見せどころであると同時に、たいへんな難題であったに違いない。

 若々しさと荒々しさ

 けれども、こうした「一瞬の攻防」をめぐる「目にも留まらぬ」描写で鍛え抜かれたからこそ、野球マンガの常識をはるかに超えた『巨人の星』の、あの迫真極まる作画も可能になったに違いない。誤解を恐れずに言えば、『巨人の星』とは、西部劇に見立てられた野球マンガなのだ。単なるファインプレーなどで決着がつきようがない。最後の最後にものを言うのは、“忍者”たちが駆使する秘術=魔球しかない。宿命のライバル=星と花形満の勝負は、まさにその典型だろう。

ガイド:「川崎のぼる~汗と涙と笑いと~展」

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

90%以上の受講生が継続。ISO認証取得で安心品質のマンツーマン英会話が毎日受講できて月5980円!《体験2回無料》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

ソナエ

自分らしく人生を仕上げる終活情報を提供。お墓のご相談には「産経ソナエ終活センター」が親身に対応します。

ページ先頭へ