馳浩(はせ・ひろし)文科相(右)に勧告書を手渡す原子力規制委員会の田中俊一(しゅんいち)委員長=2015年11月13日午後、東京都千代田区霞が関の文科省(三尾郁恵撮影)【拡大】
その上で文科相に対し、機構に代わる運営主体を提示するほか、提示できない場合はリスク低減に向けて施設の在り方を抜本的に見直すよう求めた。勧告に強制力はないが、勧告に基づく対応を規制委に報告する義務がある。
もんじゅをめぐっては、2012年11月に大量の機器点検漏れが発覚。13年5月に規制委は事実上の運転禁止命令を出したが、その後も管理ミスが相次いでいる。
≪受け皿探し難航か 廃炉の可能性も≫
原子力規制委員会は、もんじゅの新しい運営主体を見つけるよう文部科学相に勧告したが、日本原子力研究開発機構に代わる受け皿はあるのか。原子力関係者の中では、運転員を派遣するなど、もんじゅと結びつきが強い原発専門の電力会社「日本原子力発電」(原電)の名が浮上している。ただ、高速増殖炉の運営は特殊な技術的知見が必要なため、原子力機構以外が担うことは極めて難しい。
原子力機構は、その前身「動力炉・核燃料開発事業団」が1995年のナトリウム漏れ事故で批判を浴び、過去2回、“看板の掛け替え”で生き延びてきた経緯がある。原子力規制委員会は「もう看板の掛け替えは適用しない」とクギを刺すが、機構は原子力を総合的に研究する日本唯一の機関で、他に高速炉の技術的知見を有する研究機関はない。