サイトマップ RSS

僕には良心がない。神経だけがある。 芥川龍之介が張りめぐらした大正ウェブ感覚 松岡正剛 (2/5ページ)

2015.12.6 11:00

【BOOKWARE】編集工学研究所所長、イシス編集学校校長の松岡正剛さん=9月14日、東京都千代田区の「丸善丸の内店内の松丸本舗」(大山実撮影)

【BOOKWARE】編集工学研究所所長、イシス編集学校校長の松岡正剛さん=9月14日、東京都千代田区の「丸善丸の内店内の松丸本舗」(大山実撮影)【拡大】

  • 【BOOKWARE_松岡正剛】BOOK_MEETS_BOOK

 芥川はどんなことでも書物から引き取れると考えていた。だから写実的社会にも自然主義リアリズムにも関心がない。まさにブックウェア型の編集才能に長けていた。ただし文芸や芸術に甘いぶん、哲学や科学からは恩恵を受けそこなった。そこが寅彦・宇吉郎を得た漱石とは異なった人生を急がせた。

 「人生は一箱のマッチに似ている。重大に扱うのはばかばかしいが、重大に扱わねば危険になる」。この寸鉄で人を刺す箴言(しんげん)には、芥川のすべての価値基準があらわれている。『羅生門』の老婆の着物を剥ぎ取った下人、釈迦をすら非情にした『蜘蛛の糸』のカンダタ、変相図のために魂を売った『地獄変』の絵師、初期のこれらの作品から自殺した35歳の『河童』『或阿呆の一生』の書きっぷりまで、すべては形と趣向を変えた一箱のマッチだったのである。

 芥川はこんな言葉ものこした。「僕はどういう良心も持っていない。僕の持っているのは神経だけである」。禅智内供もカンダタも良秀も、この神経のために、何かを得ようとして何かを捨てた者だった。それから十数年後、芥川自身がそのような主人公となって自害した。

芥川の「神経ウェブ」

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

90%以上の受講生が継続。ISO認証取得で安心品質のマンツーマン英会話が毎日受講できて月5980円!《体験2回無料》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

ソナエ

自分らしく人生を仕上げる終活情報を提供。お墓のご相談には「産経ソナエ終活センター」が親身に対応します。

ページ先頭へ