【KEYBOOK】「風姿抄」(白洲正子著/世界文化社、1728円)
織部や辻が花をめぐった「よびつぎの文化」、娘時代は自身でも能仕舞をしていた経験にもとづいた「世阿弥を語る」、着物についての「選ぶ眼・着る心」、そして魯山人や熊谷守一についての論評が抜群におもしろい一冊だ。六十の手習いとは還暦を迎えて新しいことをすることではない。若い頃からの中途半端を脱して学ぶことだ。それを百人一首で挑んだ白洲さんの文章を味わってほしい。
【KEYBOOK】「日月抄」(白洲正子著/世界文化社、1728円)
何か作るということはどこかで独断を覚悟することだと白洲さんは言う。何が素人で何が玄人かはそこで分かれる。こうして玄人の独断力は「型」に向かう。実は「書く」ことも同じことだとも白洲さんは言う。本書は山中塗の伝統を京都に持ち込んだ稀な塗師の黒田辰秋についてのエッセイが圧巻である。工芸の人と技とはこのように見るのかという真骨頂がひたひた伝わってくる。