日銀は15日の金融政策決定会合で1年11カ月ぶりに景気判断を下方修正した。市場では追加の金融緩和への期待が盛り上がるが、「銀行の収益を圧迫する『マイナス金利政策』は当面強化できない」との見方も広がる。マイナス金利の導入から1カ月で金融政策には手詰まり感も漂っている。(飯田耕司)
「貸出金利、住宅ローン金利ははっきり低下しているが、実体経済への波及にはある程度の時間が必要」
会合では2月16日に導入した同政策の効果を検証したが、黒田東彦総裁は会合後の記者会見で、マイナス金利の成否を判断するのは時期尚早と強調した。
三菱東京UFJ銀行など3メガ銀行の10年固定型の住宅ローン(最優遇金利)は年1%を割る水準に低下し、各行への借り換えの申し込みは急増している。
しかし、会合の声明文では、「住宅投資はこのところ持ち直しが一服している」と、前回1月会合の「持ち直している」から下方修正した。
日銀幹部は「マンション価格の高騰が実需を冷やしている。住宅ローン金利の低下で今後はポジティブな効果が期待できる」と説明するが、普通預金の金利も大幅に低下する中、預金者が将来の家計のやりくりを心配しているとの声も出ている。
マイナス金利の導入を決めたのは、年明けからの円高・株安で企業マインドが悪化するのを防ぐ狙いもあった。しかし、トヨタ自動車が過去2年よりも低いベースアップ(ベア)水準を回答する方針を固めるなど、企業の先行き不安は解消されておらず、市場金利の低下で企業が借り入れを増やすという効果もまだみられない。
このため、SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは「4月の会合で成長率と物価の見通しを下方修正し、追加緩和に踏み切る」と予想した。