不正会計で経営危機に陥っていた東芝が赤字事業のリストラに一定の区切りを付け、来期は全事業を黒字化させてV字回復を狙う。ただ、牽引(けんいん)役となる記憶用半導体や原発の2本柱の事業環境は厳しくなっている。さらに、米原子力子会社ウェスチングハウス(WH)の大幅な減損処理を迫られる可能性もあり、東芝が描いたシナリオ通りに業績回復ができるのか不透明だ。
「今期の構造改革の成果を来期の全事業の黒字化につなげたい」。東芝の室町正志社長は18日に都内で開いた会見で、構造改革に一定の区切りが付いたと説明した。
昨年12月に構造改革案を発表後、赤字事業の整理を急ピッチで進めた。白物家電事業の売却に続き、パソコン事業も4月に分社化する。東芝メディカルシステムズのキヤノンへの売却も決め、財務基盤を立て直した。
ただ、なお経営リスクはくすぶる。東芝は同日、米司法省と証券取引委員会(SEC)からWHなど複数の米子会社が調査を受けていると発表した。室町社長は「不正会計問題に対する内容と理解している」と会見で述べた。