「英語は何から始めたらいいですか?」とよく聞かれる。まずは文法、まずは単語-など、いろいろ方法はあるが、おすすめは、その問いの「英語」を「コミュニケーション」に置き換えてみることだ。すると、その人なりの答えが出てくる。
先日、夫が犬の散歩に出かけたときのこと。散歩中に会った人が、犬を見て「かわいい。今日も寒いね」と犬に話しかけてくれた。「お名前は?」と聞かれたので「ロージーです」と夫が答えた。その方は、目線を犬から夫に移すと、夫が外国人だったので、驚いた様子で「あ、あ、あ…」と言葉を失って、その場を去っていった。
外国人を目の前にして、緊張して何も話せずに、悔しい思いや寂しい思いをした経験がたくさんある。しかし、それは英語習得の上で欠かせない大切な時期だった。先日、20年前に海外を旅したときのビデオが出てきた。そこには、笑顔と身ぶり手ぶりで一生懸命コミュニケーションをとろうとしている自分が映っていた。
英語が話せるようになった今、当時をふりかえると、話せなかったときの方が、相手のことを分かりたいという思いや、自分のことを伝えたいという一生懸命さが、今より強かったと感じる。英語が話せないことが、「問題(Problem)」ではなく、むしろ相手とつながるための「機会(Opportunity)」となった。