【書評倶楽部】女優・東ちづる 『跳びはねる思考』東田直樹著 (1/2ページ)

2014.11.9 11:46

東ちづる

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  • 「跳びはねる思考」

 □『跳びはねる思考 会話のできない自閉症の僕が考えていること』

 ■円熟した人生観と無垢な知性

 作家東田直樹さんのファンだ。気づいたら、作品は全部読んでいた。これまでの著書も、寝る前に読み直したり、友人に勧めたりしてきたが、この本はこれまたすごくいい。何冊も購入して、いろんな人にプレゼントしている。

 ニーチェやダライ・ラマも読む。難しいことは分からないが、安寧を求めて心が欲するのだと思うから読んでいる。たぶん子守歌のように。

 だが、この本は誘眠剤にはならない。シンクロする気づきや、問いかけに「そっかー」「そうそう」「そうなの?」と、普段やり過ごしている普遍的な興味深いことに、純粋に対峙(たいじ)することになるから。そして、考えるという歓(よろこ)びや、人間が本来持っているはずの豊かさみたいなものも感じさせてくれる。

 心に留めたい言葉がたくさんある。紹介したくてたまらない。が、やめておく。丸々ちゃんと読んでほしいから。みんなが読むと、世界は平和になるんじゃないかと思うから。

 それにしても、子供の頃から漠然と感じていたことを、実に凛(りん)と潔く、爽やかに清々(すがすが)しく言語化してくれている。時に、ハラハラと涙が散ることもある。22歳とは思えない円熟した人生観と無垢(むく)な知性に癒やされる不思議な本だ。まるで哲学書。しかもこの本は、ユニークな構成になっている。著者の大切に綴(つづ)られた言葉たちの間に、編集者からのインタビューが盛り込まれている。そのやりとりは実にキュートでもあり、著者が重度の自閉症だということもくっきり伝わる。

「僕がこんな文章を書くとは、誰にも想像できないでしょう」

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