
メーデーに首都マニラでデモ行進をする労働者たち=5月(AP)【拡大】
フィリピンは経済好調を背景に雇用が増加しているが、貧困の解消が進んでいない。同国政府に対し、世界銀行は教育の充実や労働者のスキル向上を図るとともに、労働市場の規則を緩和して雇用の質を高めるよう提言した。現地経済紙ビジネス・ワールドなどが報じた。
世銀によると、フィリピンは過去10年間の年平均成長率が5.3%と堅調な経済成長を続けてきた。この間、労働人口は年平均1.8%増、雇用数は同1.9%増となり、政府統計によると、今年1月の失業率は5.8%と過去10年で最低水準となった。
その一方で、同国統計庁の昨年1~6月の調査では人口約1億のうち26.3%が貧困層であるとの結果も出ており、成長の恩恵が国民全体に行き渡っていないとの意見も上がる。
世銀はフィリピンの貧困層を分析。33%が統計に表れない非公式な仕事、35%低収入の「自営業」、18%が賃金の発生しない家庭内労働に、それぞれ従事しているとし、低賃金労働者の増加が貧困低減の足かせになっていると指摘した。