出発点と終点が欠けた「ものづくりの話」 (3/3ページ)

2013.12.1 06:00

 最近の「メーカーズ」「ファブレス」「3Dプリンター」がキーワードになっている社会現象の底にあるのは、この十数年に一気に普及したヴァーチャル世界への飽和感やリアルな世界へのノスタルジーがあることも否定できない。

 コンピュータ自身、グーグルグラスのようにより身体に歩み寄ってきているわけだが、「技術やアプリケーションの正当性」とは違う次元で肌感覚への希求が沸々と湧き上がっている。これが職人の域が広い工芸的ものづくりへの関心へひっぱり、ユニバーサル度合が強いプラットホームよりローカルへの依存度が高いコンテンツに傾倒するきっかけになっている…ようにみえる。

 マザーハウスカレッジがものづくりのセミナーを主宰するのは、「なぜ、このモノを作るのか?」という源流から「どうして、このモノを買うのか?」に至るまでのサイクルを一気通貫して参加者と一緒に考えたいからだという。そして銀座という日本で一番の情報発信地としての力に更に磨きをかけることに貢献したい、との願いが込められている。

 ぼくは、この2点が気にいった。正直なところ、多くのものづくりの話は、出発点と終点が欠けている。「ユーザー視点」を取り入れるといいながら、大きな社会的文化的なストーリーや実際に「売る」「買う」というポイントがすっぽりと抜け落ちている。

 だから銀座をセミナー拠点にする発想はぼくにしっくりときた。こういう活動は応援していきたい。

 ローカリゼーションマップとは? 異文化市場を短期間で理解するためのアプローチ。ビジネス企画を前進させるための異文化の分かり方だが、異文化の対象は海外市場に限らず国内市場も含まれる。

 安西洋之(あんざい ひろゆき) 上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。現在、ローカリゼーションマップのビジネス化を図っている。著書に『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』 共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのサイト(β版)フェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih

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