後半は、これらのポイントが生きていくうえでどう参考になるかに話題を移す。ぼく自身が高校時代に目覚めたのは、他ならぬ「全体像への希求」であり、当時は桑原武夫、林達夫、加藤周一、梅棹忠夫、…といった人の著書を愛読した。いずれの人もある専門分野に留まらず、常に複数分野の拡大と統合を圧倒的な力で見せていた。
フランス文学科を選んだのはフランスが好きだったからではない。フランス文学自身が政治経済、社会、美術など人の営み全てを対象とすることが気にいったからだ。英文学や国文学はより限定された領域を相手にしていた。
大学を卒業して自動車メーカーに勤めた理由の一つは、裾野が広い産業で世界を眺めたかったからだ。そしてサラリーマンを辞めてイタリアに来たのは、自動車以外のビジネスも自分の分野に取り込み、かつビジネスだけではない社会的な活動に対しても敏感でありたかった、との動機が働いていた。
電子デバイスのユーザーインターフェースのユーザビリティやローカリゼーションに関与し、それまでのさまざまな領域で得た経験を一つのカタチにする対象であると思えた。その結果、ビジネスに貢献する文化論・ローカリゼーションマップを展開する現在に至る。