そのぼくが自分自身のキャリアの統合を感じたー「あれとこれの経験が繋がり、自分にしかできない領域をうちたてるプロセスに入った」との実感を身体の底からもった-のは40歳を過ぎてからだ。できればもっと早く、この実感に辿りつきたかったと思う。
だから学生たちにアドバイスしたいのは、この「統合感」をできるだけ早い時期に獲得することだ。小さくても良いから3つの違ったフィールドで経験を積み、「全体ってこんな感じで掴むものなんだ」という感覚を得る。そのポイントを越えると、「こんな小さいことやっていて将来役立つのか…?」という不安はなくなり、小さい穴から真実の輝きがかすかに見えてくる。同時に似たことを同じとみるか、違ったこととみるかの勘が冴えてくる。
学生から「卒業後はまず大きな企業に就職した方が良いですか?」と聞かれた。
どんなに小さなスタートアップ企業で仕事をするにしても大企業の内部メカニズムを知っていて損はない。しかし優先順位をあげるなら、ゼロから10までのプロセスを自分の目と手で何回か回す実績をもつほうがもっと大切である。大きな組織で小さな歯車となってはほぼ不可能なことだ。
全体像への執拗なアプローチが無駄な敗北感を外に追いやってくれるに違いない。
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ローカリゼーションマップとは? 異文化市場を短期間で理解するためのアプローチ。ビジネス企画を前進させるための異文化の分かり方だが、異文化の対象は海外市場に限らず国内市場も含まれる。
安西洋之(あんざい ひろゆき) 上智大学文学部仏文科卒業。日本の自動車メーカーに勤務後、独立。ミラノ在住。ビジネスプランナーとしてデザインから文化論まで全方位で活動。現在、ローカリゼーションマップのビジネス化を図っている。著書に『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』 共著に『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか? 世界で売れる商品の異文化対応力』。ローカリゼーションマップのサイト(β版)とフェイスブックのページ ブログ「さまざまなデザイン」 Twitterは@anzaih