綿矢りささん新刊「ウォーク・イン・クローゼット」 消費社会の悲哀、軽やかに (2/4ページ)

2015.11.22 17:02

収録作の執筆のために陶芸家を取材。「その職業に夢中になる理由、魅力が伝わってきた」と話す綿矢りささん

収録作の執筆のために陶芸家を取材。「その職業に夢中になる理由、魅力が伝わってきた」と話す綿矢りささん【拡大】

 大失恋を経験した早希は新たな恋を求めていろんな男性とデートを重ねる。〈私たちは服で武装して、欲しいものを掴(つか)みとろうとしている〉。クローゼットに並ぶ〈対男用〉の服を、場や相手に応じて使い分けるけれど、逆に見かけだけで判断する男たちの無神経な言動に傷つけられる。ファッションやしぐさといった表層のイメージをひたすら交換し合い、日々を生き抜く-。浮かび上がるのは、物や情報があふれた高度消費社会に身を置く現代人のそんな哀しくもおかしな姿だ。

 「『自分が好きか』より先に『人にどう思われるか』を考える。そうして作られる外見って、もろいと思うんですよね。そのもろさが人間くさいから私は好きなのかもしれない。全方位に好かれることを追求して何かが空虚になっていく…その感じを書いてみたかった」

 デパート勤務のOLと恋人、その元彼女との三角関係をつづった「かわいそうだね?」(23年)にも通じる世界だが、本作の主人公はより静かにしなやかに現実に対処している印象がある。

10代で作家デビューし注目を浴び続けた自身の実感もこもる

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