当時は食育という概念が乏しく、食材には不自由しないものの、戦争中に食べ物で苦労した経験を持つ人たちも多くいらして、給食を残すことはまごうかたなき悪であるという風潮でした。全部食べるまで食器を下げることまかりならん、と目を光らせる担任の先生はとても怖いものでした。怖ければ食欲はうせます。食べられない食材もあるし、体が小さいので、そもそも配膳される量も多い。私は昼休みまで給食居残り組でした。なんだかいつも涙目になっていたように思います。
ですので給食時間を思うと、もういっそ学校休みたいと思うほど、激しくブルーになっていました(実際仮病で休んだこと数知れず)。
その陰鬱な気分をいっとき忘れさせてくれるもの、それが本でした。授業と授業の合間には本を読んでいました。給食が配膳され始めると、食べ物の匂いをかがないように本を開いて鼻に押しつけ、紙の匂いをかいでいました。図書室や学級文庫にあった本やマンガには、実に助けられました。
描けない、マンガは別
今、幸か不幸か本に関わる仕事の末端におりますので、基本的に読書は、当時のような現実逃避としては、なかなか成立しなくなってしまいました。