ビアモンティ氏【拡大】
「時は金なり」でいう効率とは違うところに時間の価値をおく。ここに日本文化の特色があると言っているように聞こえる。彼の解釈を確認するために、ぼくはこういうエピソードを出してみた。
数年前、ヴィネツィアで開催された展覧会に日本の建築家が作品を発表した。それを数人の欧州人と見学に出かけた時、彼らの半数以上が否定的だった。それは「なんて、細かいことにこんなに時間を使ったのだ。もっと効率よくメッセージが伝えられるではないか!」というのが理由だ。ディテールへの拘りが悪者にされた。
このぼくの経験談をビアモンティ氏に話すと、彼のコメントは違った。
「あの作品は素晴らしかった。彼は西洋の作法で建築をやろうとすると上手くいかないけど、空間や素材を日本の流儀で表現すると凄く面白い」
細部に力を入れると「全体が見えない」「過剰品質ではないか」との批評を受けるのではないか、と戦々恐々しているところが今の日本のビジネスパーソンにはある。そして、その逆に伝統工芸品などの「本物」の世界こそに日本の表現の領域があると執着する傾向がある。
クラフトマンシップと大量生産を切り離してしまうのだ。しかし、日本文化の外にいる人はそうみない。ビアモンティ氏はこう語る。