
緑の習慣の開発エピソードなどについて語る武田薬品工業の高濱仁彦氏(左)ら【拡大】
≪STORY≫
■製薬会社のこだわり随所に
消費者の健康志向の高まりや、訪日外国人客の購入で市場規模が拡大している健康食品市場。武田薬品工業が満を持して投入したのは、バイオベンチャーのユーグレナと共同開発した健康補助食品「緑の習慣」だ。豊富な栄養素を持つミドリムシ(学術名・ユーグレナ)に着目し、品質や独自性など、随所に製薬会社ならではのこだわりを追求した。
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武田薬品は2012年、「健康寿命の延伸に貢献する」というビジョンを掲げ、健康食品の領域に事業を広げようと決めた。マーケティング部を中心に有望な素材を探すことになり、ユーグレナとの提携話が進んでいた。
マーケティング部の高濱仁彦・通販グループマネジャーは13年10月から、プロジェクトの担当になった。当時、「ミドリムシという名前から、虫かと誤解し、正直、良いイメージがなかった」(高濱さん)が、ミドリムシの加工食品の利用者から、「おなかの調子が良くなった気がする」「肌のつやが良くなったかもしれない」などの声が寄せられていることを知った。
ユーグレナによると、ミドリムシに含まれるβ-グルカンの一種、パラミロンが人体に作用している可能性があるという。高濱さんは「素材として将来性がありそうだ。取り組みがいがある」と直感した。医薬品メーカーとしての武田のノウハウと、健康食品会社としてのユーグレナの知見の融合作業が始まった。
製品化には、自然食品であるがゆえの品質のばらつきをなくし、有益性をどう説明するかという課題があった。